あの日、なっちゃんが教えてくれたこと。

以前、知り合いの塾で働かせてもらっていたことがある。

そこに姉妹で通ってくれていた生徒がいた。

発達障害のあるお姉ちゃんと、しっかり者の妹。

今回は、その妹の話だ。仮になっちゃんと呼ぶことにする。

■ 動物園状態の休憩時間に、ポツリと

なっちゃんは明るく活発な女の子だった。

お姉ちゃんはマイペースで天真爛漫。

でも妹のなっちゃんは、いつもお姉ちゃんの面倒を見ていた。小学3年生なのに、しっかり者だった。

早い時間帯の休憩時間は動物園状態で 笑、なっちゃんもよく走り回って遊んでいた。

そんなある日、ふと急に深刻そうな顔になって、ポツリと言った。

「先生、この先、生きてて何かいいことあるのかなあ?」

小学3年生の言葉だった。

■ 返す言葉が、見つからなかった

しばらく言葉が出なかった。

小学3年生がこんな言葉を言うのかというショック。

まず受け止めるのに時間がかかった。

いつも元気に走り回っているのに、実はとてもつらい思いをしていたのかと。

共働きのご家庭で、妹が姉の面倒も見ている。塾に預けられているという印象もあった。

小さな肩に、いろんな負担がのしかかっていたのだろう。

やっと出てきた言葉は、一言だけだった。

「きっといいことあるよ。」

それだけだった。それしか言えなかった。なんだか泣けてきた。

■ あの日、心に誓ったこと

あの瞬間、言葉に詰まった自分が情けなくて、心の中でそっと、噛み締めるように誓ったんです。

「この子が、誰かの顔色を窺わずに、自分の足で立って笑える世の中を作らなあかん」と。

綺麗ごとを言うつもりはありません。家庭環境や過酷な現実は、子ども一人の力では変えられないかもしれない。

でも、「学ぶこと」だけは、誰にも奪われない個人の武器になります。

知識をつけ、自分で考え、自分で決断する力をつければ、どんな理不尽な状況からでも、自分の力で抜け出す切符(チケット)を手に入れることができる。

誰かに幸せにしてもらうのを待つんじゃない。自分の力で、運命をひっくり返せる。

「自学・自律・自立」

塾長がこの言葉にこだわる原点は、あの日のなっちゃんの、小さな震える背中にあります。

■ 中学生のみなさんへ

今、家や学校で、自分の力ではどうにもできない「つらいこと」に直面している君へ。

叫んでも環境が変わらないなら、今はじっと爪を研いでください。

勉強は、大人の言うことを聞くためのものじゃない。君がいつかその場所を飛び出し、自分の人生の主役になるための「最強の武器」です。

もし、一人で武器の研ぎ方がわからないなら、一人で抱え込まないでください。

君の周りに、必ず味方はいます。

その人に、今日だけでいいので勇気を出して声をかけてみてください。その一歩を踏み出す勇気が君を変えていきます。

うまくいかなくても大丈夫。

話しかけてみたけど、やっぱりわかってもらえなかった、ということもあるかもしれない。

でも、勇気を出して行動を起こしたこと、変化を起こそうとしたこと、それ自体が賞賛すべきことです。

その勇気は、絶対に無駄にはなりません。

なっちゃん、元気でいるといいな。

※最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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