はじめて働いた冬。元木選手と、わたし。

高校2年生の冬休み、はじめてアルバイトをした。地元の郵便局での年賀状の仕分け作業だった。

バイト募集のハガキを見て応募した。今思えば、よくそのハガキに気づいて応募したなと思う。

当時の自分がどんな気持ちで応募したのか、正直あまり覚えていない。

ただ、初めてのアルバイトだったから、さすがに少し緊張していたはずだ。あのとき、わたしの「働く人生」がはじまった。

作業はシンプルだった。ひたすら年賀状を地域や住所ごとに仕分けていく。ただそれだけ。

でも、正直に言う。単純作業が、とにかく苦手だった。

「早く終わらないかな」と思いながら手を動かしていた記憶がある。

それより、外に出てバイクで配達しているスタッフの方がずっと楽しそうに見えた。

動いている人間を横目に、ひたすら仕分けをしている自分。あの感覚は今でも覚えている。

そんな無心で仕分けをしていたとき、ある束に気がついた。

元巨人軍、元木大介選手宛ての年賀状が、ものすごい量で届いていたのだ。

女性からのファンレターもたくさん混じっていた。「あ、本物の有名人ってこういうことか」と妙に感心し、正直羨ましいと思った。

年賀状の仕分けをしながら、プロ野球選手の人気をリアルに体感するという、なんとも不思議な経験だった。

◇

短い冬休みのバイトが終わって、給料をもらったとき、素直に思った。

お金を稼ぐって、大変なんやな、と。

勉強でも部活でもなく、「働く」ということのリアルを、高校2年生で体感できたのは、今思えばよかったと思う。

そして、もう一つ気がついたことがある。

自分は単純作業が向いていない。

動いている方が楽しい。

あの日の郵便局でのアルバイトも、今思えば「自分を知る授業」だったのかもしれない。

その感覚は、あのとき以来、ずっと変わっていない。

今でも死ぬほど単純作業は嫌いだし、とことん現場主義なのも、あのころから何も変わっていない。

人は意外と、10代のうちに「自分らしさ」のヒントを見つけている。

ただ、それに気づかないまま大人になることも多い。

◇

■ 中学生のみなさんへ。

アルバイトはまだ先の話かもしれない。

でも、「自分は何が好きで、何が苦手か」を知ることは、今からでもできる。

勉強でも、部活でも、日常のあらゆる場面に、自分らしさへのヒントが隠れている。それに気づける人は強い。

「向いていないこと」がわかるのも、立派な自己理解だ。

今日、何か作業をしていて「あ、これ好きかも」「これはちょっと苦手かも」と感じた瞬間があったら、覚えておいてほしい。

その小さな気づきの積み重ねが、いつか自分の進む道を照らしてくれるはずだから。

※最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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